いつ、どこにいても、携帯電話、スマートフォンやモバイルパソコンなどで情報交換、連絡が取り合える便利な時代。世界中の出来事が瞬時に伝わるグローバルな情報化社会、 膨大な情報とデジタルなコミュニケーション手段が溢れる今日。
しかしその反面、一人一人が孤立しやすくなり、人と人とが肌を触れ合ってコミュニケーションをとる機会が激減しているのも事実です。
1997 年に産声を上げたラテン文化センター「ティエンポ」は、デジタル化が進む現代だからこそ、人と人とが生の実感と喜びに溢れた時間を共有できる場を提供していこうと、舞踊・アート・音楽・言語・食といった様々な角度から体験できる文化交流活動を行っています。
1996 年、現理事長兼センター長のサンティアゴのアイデアに賛同したイベロアメリカ出身者、日本人が一杯のコーヒーを飲みながら、語り合った「ティエンポ創り」の構想。翌年、設立メンバー15 名、会員50 名という少人数で活動をスタートしたラテン文化センター「ティエンポ」は、年々活動の幅を広げながら、今や海外からも注目されるNPO 団体へと成長しました。
毎年8月に開催しているフェスティバル「イスラ・デ・サルサ」は、国内最大級のラテンの祭典として評価されるようになり、また2002年からは、フェスティバルへ招へいしているカリブ音楽のオーケストラによる日本ツアー「ビベラ! サルサツアー」の企画もスタート。福岡だけでなく、全国の方に世界トップレベルのラテン音楽を通しての異文化交流を届けることができるようになりました。
2009年には、これまでのティエンポの活動が認められ、ドミニカ共和国政府観光局による協賛という形で、ラテン音楽の帝王と言われるフアン・ルイス・ゲラのアジア初公演を実現。これまでなかなか実現できなかったフアン・ルイス・ゲラの来日のニュースは、ロイター通信、EFE( エフェ)スペイン通信社を通し、世界の600 チャンネルへ情報が発信され、雑誌・新聞等、多数の国内外メディアに取り上げられました。また、「イスラ・デ・サルサ」で長年の夢であった日本公演を果たしたフアン・ルイス・ゲラは、今年3月、福岡でのステージの思い出を綴った曲「Bachata en Fukuoka ~福岡でバチャータ」をリリース。(詳細こちら) 世界に向け「福岡」の名が発信され、大きな反響を呼んでいます。
翌年の2010年に「イスラ・デ・サルサ」の海外メインバンドとして招へいしたキューバンサルサの王者ロス・バン・バンは、「ビベラ! サルサツアー」で東京、名古屋、オーストラリア3都市 (シドニー、メルボルン、ブリスベン)で6都市7公演 (「イスラ・デ・サルサ」での2公演を含み)を実施。福岡から発信している異文化交流の輪、市民活動を遂に、シドニーオペラハウスまで届けることができました。
小さい歩幅ながらも着実に歩み続けているティエンポの活動。「自分と違う」ことに背を向けず、互いの違いを分かち合いながら、自分を成長させていく。これからも、人種や言葉、年齢、性別などの壁を超えたボーダーレス精神で、一人でも多くの仲間とともに文化交流の輪を広げていきたいと願っています。